日本車に衝突被害軽減ブレーキ

日本車の新スタンダード!衝突被害軽減ブレーキの仕組みを知ろう

数年前までは考えられなかった「衝突被害軽減ブレーキ」のクルマヘの浸透状況。

 

軽自動車にも5万円ほどでオプション搭載されるものがあるなど、今や安全装備のなかの新常識となりつつある。

 

今回は、「衝突被害軽減ブレーキ」を解説していこう。

 

衝突軽減ブレーキのシステムって?

 

まずは衝突被害軽減ブレーキ搭載車が最近増えてきたのはなぜだろう。

 

理由は大きく2つあり、ひとつ目は文字どおり衝突した際の被害の軽減効果が高いこと。

 

2つ目は国交省による『ASV(先進安全自動車)推進計画』の普及が実を結び、安全技術に対するユーザーの関心が高まったこと。

 

また、実質3万円台(スズキ「ソリオ」)から選択できる低価格も普及の追い風になっている。

 

さて、衝突被害軽減ブレーキの核となるシステムには大きく3タイプある。

 

@ミリ波レーダー
A赤外線レーザー 
B光学式カメラ

 

これらのなかからひとつを搭載したり、2つ以上を搭載する複合システムなどになっている。

 

その3タイプある衝突被害軽減ブレーキの得意、不得意ポイントをカバーするように搭載するのがいい。

 

「作動速度」とは何を表わしているのか

現在日本で衝突被害軽減ブレーキを搭載している国産車と輸入車の詳細を見ていると、「作動速度」というものがある。

 

これは何を表わしているのだろうか?

 

止まっているものに対する絶対速度のことか、それとも……?

 

衝突被害軽減ブレーキの作動速度域として各メーカーがカタログなどに表記している速度は、装着車両の自車速度(絶対速度)のことだ。

 

例えば作動速度域が約10〜80km/hの場合は、自車のスピードメーターが約10〜80q/hの問で作動するということ。

 

しかし、センサーが何らかの外的要因を受けて測定精度が落ちてしまっている場合は、作動速度域であってもシステムが正常に働かないことがある。

 

例えばカメラセンサーに直射日光が常時当たる、もしくはミリ波センサーが雪や泥などで覆われてしまった場合は、他車を認識するセンサーの精度が著しく落ちる。

 

または検知できないため、一時的にシステムをシャットダウンする。

 

この時、ドライバーにはメーター内部のインジケーターなどによりシステムが機能していないことが知らされ、状況が好転すると自動的に復旧する。

 

また外的要因で正常に作動しないこともある、ということを認識する必要もありそうだ。

 

200km/hでも完全に静止するか

 

各社の作動速度は違いがある。

 

例えばベンツの作動速度は7km/h〜200km/hと書いてあるが、本当に200q/という速い速度でも止まるのだろうか?

 

各社への取材でわかったことは、各社の数値は、「その速度域で衝突被害軽減ブレーキのシステムが機能するように設計しています」ということ。

 

つまり、システムが作動する自車速度域の上限を示しているだけで、完全停止を確約しているわけではないということ。

 

ここは非常に重要な点だ。

 

 

具体的には、その速度の範囲内ならばあらかじめ定められたTTC(衝突予測時間)に応じて、一次警報&弱い(報知)ブレーキ→二次警報&強い(緊急)ブレーキが作動し、自車速度を減速させることができるシステムに設計されているわけだ。

 

続けて重要ポイントがある。

 

昨今、衝突被害軽滅ブレーキのなかで注目されている0km/hまで止まる完全停止だが、これは自車速度だけでなく、路面の状態、タイヤの状態に加えて、前述のセンサーへの外的要因などの複数の条件がシステム側で想定内に収まっている場合にかぎり実現するもの。

 

だから、例えカタログなどに明記されていても、場合によっては止まらないことがあることを肝に銘じておくべきだ。

 

 

歩行者に対する対応をチェック

また作動速度では、例えばホンダが5〜30km/h、マツダが約4〜30q/h、VWは30q/h未満と「30km/h」が目につく。

 

30q/hのセンサーの多くは赤外線レーザーを用いるもの。

 

この赤外線レーザーによる衝突被害軽減ブレーキは、国交省の指針に則った(≒波長/センシング角などに制限を設けた)赤外線を使っているため。

 

ミリ波レーダーよりも照射距離が短く、機能させることができる速度域が限定されているので、30q/hという数値になっている。

 

でも、決して赤外線レーザーそのものの精度が低いという理由ではない。

 

では歩行者に対しての衝突被害軽減ブレーキシステムはどこまで進んでいるのか?

 

3タイプの主流センサーのうち、人の認識にはカメラ方式が有力視されているが、それだけでは限界という。

 

複眼カメラ方式をもってしても最大で約500m先(メルセデスペンツSクラスなど)の大よその様子しか認識することができず、それが人の挙動までを推論するために必要な立体視ができる距離となると、約50mにまで狭まるそうだ。

 

現在、次世代のものとして、歩行者を認識し、さらに自車で回避動作を行う機能を持たせた新しいシステムの開発が各メーカーやサプライヤーの間で進んでいる。

 

例えばトヨタでは、歩行者の検知が可能なPCSのプロトタイプに、ブレーキによる減速だけでは衝突が避けられないと判断された際、自動でステアリング操舵して歩行者を極力避ける新技術を組み合わせている。

 

15年頃を目安に市販車への搭載を目指している。

 

歩行者への対策も着実に進みつつある現在。技術の進化がこの世界でも如実につかめるのだ。

 

最終的に「止まらせる」のはドライバーだ

 

衝突被害軽減ブレーキの一歩踏み込んだ話を展開してきたが、「衝突被害軽減ブレーキの最大の効能は、ドライバーにいち早く危険を知らせること」であることを認識する必要がある。

 

仮にドライバーへ知らせたにもかかわらず、ドライバーが回避動作をとらない(とれない)場合は、いよいよシステムが作動するが、その場合でもセンサーは”得意な分野の情報入手で作動”。

 

スピードを減速させるこのシステムが働けばそれだけ衝突の可能性が低くなり、万が一衝突した時も被害が軽減することが可能だ。

 

これはとても意義があることだ。

 

”センサーとの協調運転”における第一歩であると考えるべきだろう。

 

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