EVのワイヤレス充電

ワイヤレス充電でEVが変わる

ワイヤレス充電(非接触充電ともいう)についてはリーフが発売した時から、研究されていた。

 

だが、今回初めて発売したのは電力品質のソリューションに取り組む世界的メーカー、シャフナー社と関係の深い米国EvatranGroupで「PluglessPower (プラグレスパワー)」という名で商品化された。

 

ワイヤレス充電器は30万円

現在のとこ設定ろ、ラインアップされるのは日産リーフとシボレーボルト用で、米国ボッシュによって設置の際のサービスが行なわれ、価格は3098ドル、日本円で約30万円とそんなに高くない。

 

もちろん工事費は別途かかるが、日本でも充電器を新設しようとすれば、本体と工事費合わせて30万円以上するから、従来のプラグタイプよりもおしゃれなワイヤレスタイプが人気になってもおかしくない。

 

このシステムは日産がリーフ発売時にすでに研究していた電磁誘導方式を使っている。

 

EVのワイヤレス充電にはこのほかに三菱とIHIが共同研究し、トヨタが技術提携している米国のベンチャー企業WiTricity(ワイトリシティ)社が高い技術を持つ磁界共鳴式(後述)も有力視されている。

 

まずは今回発売されたリーフ向けのワイヤレス充電器のシステムを説明しておこう。

 

大きく分けると3つの主要部品からなる。

 

@車の下に装着された車載アダプター

 

A地上に設置された駐車パッド

 

B充電状況を教えるコントロールパネル

 

つまりケータイ電話の充電と同じ原理で、送信コイルの入った駐車パッドに電気を流すと磁界が発生し、その磁界を受信コイルの入った車載アダプター側で受けると電流が発生し、リチウムイオンバッテリーに充電できる仕組みだ。

 

円盤状の個性的な駐車パッドの大きさは約56×46mで高さ6cmとコンパクトで、もし乗り上げても680sまでの重さに耐えられるという。

 

コイル同士が反応する距離が約15cmと短いため、位置合わせが重要になるが、車が近づくにつれコントロールパネルが明るくなるなど工夫され、ほとんどのドライバーが適正な位置に停車できたという。

 

駐車パッドの上に停車すれば自動的に3.3kWの送電が始まり、充電完了すれば自動的に停止する。

 

ケーブルを使用される際とほぼ同じ91.7%の充電効率を持ち、充電時間は200Vのケーブルで充電した時と同じ約8時間だ。

 

駐車パッドとコントロールパネルをボッシュが取り付ける契約となっていて、約4sの車載アダプターもボッシュのカーサービスで装着されるほか、新車にはオプションで用意されるという。

 

ワイヤレス充電器にすれば、リーフが持つITコントロールによって充電開始時間をタイマーでセットしたり、充電完了の情報がスマートフォンでわかったりとますます便利になるはず。

 

最近リーフのタクシーを見るようになったが、例えば駅のロータリーなどに駐車パッドを設置すれば、客待ち時間に充電できるようになる。

 

磁界共鳴式非接触充電

先にも少し触れた磁界共鳴式ワイヤレス充電は2006年アメリカのMIT(マサチューセッツエ科大)で理論化されたものだ。

 

送電側、受電側それぞれにコイルとコンデンサを埋め込み、共鳴現象が起きる作用を利用し、特定の共振周波数を使って電力を送るもので研究が進んでいる。

 

そしてこの技術で一歩リードするのがアメリカのベンチャー企業であるWiTricity(ワイトリシティ)社になる。

 

WiTricity(ワイトリシティ)は無線(wireless)と電気(electricity)をあわせた造語だ。

 

磁界共鳴式の特徴は電磁誘導式よりも電力の伝達距離が数十cmと大きく、送電装置と受電装置の位置や角度のずれの影響が小さいということが挙げられる。

 

つまり、例えば側面や斜め方向からのワイヤレス充電が可能で、街中や高速道路の区間ごとに送電コイルを設置すれば、走行しながらの充電できるのだ。

 

もちろんそこまでのインフラの整備が可能かどうかは不明だが、実現すれば充電での航続距離の短さというEVの欠点を払拭できる。

 

ちなみにWiTricity社と技術提携しているトヨタは2015年までにワイヤレス充電式のEVやPHVを発売する計画だが、リーフのワイヤレス充電器が発売になれば前倒しされ実用化されるかもしれない。

 

NEXCO中日本の給電実証実験

高速道路側でもさまざまな実証実験が始まっている。

 

高速道路各社のなかで最もEVの充電に熱心なNEXCO中日本は三菱ふそうが開発した小型電気トラックキャンターE−CELLを使ってワイヤレス充電の実証実験を行っている。

 

キャンターE-CELLは2t積みの3LDEトラックをEVにしたもので最高出力96kW(131ps)、最大トルク650Nm(66.2kgm)の強力なモーターと70kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載している。

 

最高速度80q/h以上、航続距離100q以上という本格的な電気トラックで、大きな特徴として、チャデモ方式の急速充電コネクターのほか磁界共鳴式のワイヤレス充電装置を持っている。

 

もちろんこんなトラックが走るのは日本では初めてで、コネクター左側面にワイヤレス給電装置を持ち、実際に新富士ICそばの富士保全サービスセンターにあるワイヤレス充電装置から充電が可能だ。

 

実証実験では、実際にワイヤレス充電を繰り返すことで角度のずれなどによる充電状況の変化を計測する。

 

NEXCO中日本は今後道路にワイヤレス充電装置を設置しての走行中の充電にも前向きな姿勢を見せている。

 

まだまだ始まったばかりだが、走行中の充電が可能になれば、搭載するバッテリーの容量も小さくてすむというメリットがあり、車体の軽量化やパッケージングの高効率化など、EVの姿を一気に変えてしまうかもしれない。

 

その一方で、ワイヤレス充電が普及する前に、バッテリー自体が大きく進化する可能性もある。

 

各社とも次世代バッテリーの開発を急ピッチで進めていて、大容量バッテリーが実用化されれば、走行中の充電も必要なくなる。

 

ワイヤレス充電は急速充電には不向きだから、その点は差し引いて考える必要があるだろう。

 

航続距離の短さがネックとなっているEV。

 

課題は克服できるのか?

 

その判断をするには時期尚早だが、アメリカで始まったリーフのワイヤレス充電器の販売がEV普及の可能性を拡げたことは間違いない。

 

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