日本車とスマートエネルギー

日本車にこそスマートエネルギーを〜水素エネルギー最前線

2015年2月、東京ビッグサイトでスマートエネルギー関連企業向けの大商談会が9つ同時開催され、世界31力国、1580社が出展した。

 

水素社会の最新動向を探るべく、FCEXPOに潜入した。

 

幕開けとなるテープカットには、経済産業省資源エネルギー庁長官上田隆之氏など国内外のスマートエネルギー分野のトップ58人が集結した。

 

業界関係者の熱気が感じられるものであった。

 

ここでは、会場で見つけたまだ実用化はされていない新技術や、ユニークな展示品を紹介したい。

 

 

目指せ実用化!次世代型発電システム

まず、三菱日立パワーシステムズ(株)が開発している燃料電池と高効率の火力発電を組み合わせた、複合発電システムHYBRID−FC250だ。

 

900℃という高温で作動するセラミックス製の燃料電池SOFC(固体酸化物形燃料電池)で、都市ガス(メタンガス)から分離した水素を、酸素と反応させて直接発電するのだ。

 

さらにそこで反応せずに残った都市ガスは、高温排気とともにマイクロガスタービンに送られて、再び発電に利用される省エネで高効率な仕組なのだ。

 

 

産業用の燃料電池システム実証機として、九州大学で15年春から実証運転を開始するそうで、将来的には身近な再生可能エネルギーとして、下水処理施設で発生するメタンガスを燃料として発電することも考えられているそうだ。

 

大阪大学発の画期的な水素生成技術

 

大阪大学産業科学研究所「小林研究室」が発表していたのが、シリコンナノ粒子とアルカリ水を利用して水素を生成するという世界初の画期的な技術だ。

 

シリコンインゴットから、太陽電池用シリコンウェーハを切り出す時に、シリコンの切粉が産業廃棄物として出てしまう。

 

これを原料としてさらに細かく粉砕、シリコンナノ粒子を作製する。

 

その後はいたって簡単で、強アルカリ性の水と混ぜるだけで、シリコンナノ粒子1gからなんと1.6Lの水素を作れるという!

 

会場では実際に水素を生成し燃料電池に供給し、Nゲージを走らせたり、LED電球を光らせたりするデモンストレージョンが行われていた。

 

コンパクトなシステムで、水素生成をさせながら、直接燃料電池に供給することができるため、ポータブル式非常用電源としての応用が期待できるそうだ。

 

メインより高性能ワインセラー

山梨県のブースに展示されていたのは、県内8社が集まった山梨県燃料電池タスクフォースが製作した個性的な燃料電池搭載のワインセラーだ。

 

普段は100V電源で稼働しているのだが、停電時にもワインの温度を維持出来るように、非常用として燃料電池を搭載しているのだ。

 

しかし、関係者の話では、海外からの来場者のなかにワイン好きが多かったそうで、燃料電池技術よりも、一本一本の温度を細かくコントロールできるワインセラーが、高級ワインを貯蔵するのにぜひ欲しいという引き合いが多かったそうだ。

 

インフラ拡充が急務のクリーンエネルギー

 

 

水素社会に向けたさらなる研究や法改正が進むので、2016年の大商談会ではさらに進んだ各国の技術が出展されることに違いない。

 

開催期間中、FCVに試乗ができるということで、MIRAIを試乗させてもらってきた。

 

FCVとはいうものの、動カ系は、基本EVと同じだ。

 

乗り心地もいいし、航続距離もカタログ値650kmと優れた数字、あとはもっとインフラが普及さえすればというところか……。

 

クルマの開発はいっそう進んでいるが、FCV普及のもう一つの条件がインフラ整備、水素ステーションの拡充だろう。

 

経済産業省は、2016年度から3年計画で100力所の水素ステーションを新設する方針を打ち出しているが、問題は山積みだ。

 

特に、高圧ガス保安法によって定められた圧力容器や配管設計基準が、欧米に比べ格段に厳しくなっている。

 

さらに、使用可能な鋼材の範囲も狭いなど、制約が多く、欧米では1億〜1.5億円で建設できる水素ステーションが、日本では3.5億〜5億円かかる。

 

経産省では、水素ステーション建設費用の最大2分の1を補助しているが、高圧ガス保安法(経産省)はじめ、建築基準法(国交省)や消防法(総務省)など関連の法律の改正を、関係省庁と歩調を合わせて進め、ステーション建設のコストダウンを図っていく。

 

経産省はじめ政府が本腰を入れたFCVの普及は進むのか、注視したい。

 

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